未成年の詐欺罪について

2023/04/09

お悩みさん

シングルマザーの主婦です。
17歳高校生の息子が、お小遣い稼ぎでオレオレ詐欺をおこない逮捕されてしまいました。
警察が言うには受け子という役をおこなっており、被害者から直接お金を受け取ろうとしたところ被害者の通報で捕まってしまったとのことです。
これからどうしたらいいのかわかりません。
子供は少年院に入るのでしょうか、今後何をしたらいいのでしょうか。
教えてください。

弁護士

それは大変でしたね。
まだ逮捕段階ですので息子さんが本当にオレオレ詐欺をおこなったのかは慎重に確認する必要がありますが、仮に行っていた場合には、お子さんもまだお若いのでしっかりと対策をしてなるべく罪を軽減できるようにしたいですね。
まず、未成年者者が逮捕された後の手続についてしっかりと理解しておきましょう。

未成年の刑犯罪が起きた時の流れ

弁護士

未成年者が逮捕された場合、その後の手続きの大まか流れは以下の通りになります。

1. 警察による取り調べと検察官への送致|逮捕から48時間以内
まずは警察署に留置され、警察から取り調べを受けることになります。
その後、逮捕から48時間以内に検察官に送致されることになります。

2. 検察官による勾留請求と勾留に代わる措置|最長20日間
検察官に送致された後、検察官は24時間以内に勾留請求をするかどうか決定します。
検察官が裁判所に勾留請求を行った場合、裁判所が勾留を決定すると原則として最長10日間、勾留延長を決定すると最長20日間にわたり身柄を拘束されます。

3. 家庭裁判所への送致と審判開始の決定
少年事件は「全件送致主義」がとられているため、嫌疑がある場合は原則全て家庭裁判所に送致されます。
捜査機関から送致を受けた家庭裁判所は、その少年の処遇を決定するまえに、少年を少年鑑別所に収容して観護措置決定をとるかどうか決定します。
また、観護措置決定と並行して家庭裁判所調査官による少年の調査もおこなわれます。
最終的に裁判官はこれらの結果を踏まえて、少年審判をするかどうか決定します。

4. 少年鑑別所での観護措置決定|通常4週間(最長8週間)
家庭裁判所の裁判官は、審判を行う必要があるとき少年を少年鑑別所に収容する観護措置決定をおこないます。
少年鑑別所とは科学的な検査や鑑別ができる設備や専門家が配置されている施設で、ここでは少年の処遇を決定するために専門家による面接や、医学的・心理学的な検査などがおこなわれます。
収容期間は通常の場合で最長4週間までとなります、特別な証拠調べが必要な場合は最長8週間まで延長できるとされています。

5. 家庭裁判所調査官による調査
少年の処遇を決定する前に、家庭裁判所調査官による調査がおこなわれます。
調査の内容は多岐にわたり、少年の性格、日頃の行動、これまでの環境などを確認したり、保護者をはじめとする少年の関係者を呼んで面接をします。
そして、調査官が調べた内容は報告書にまとめられて、少年の処遇を決定する裁判官に提出されます。

6. 少年審判開始
裁判官が少年審判の開始を決定した場合、家庭裁判所で非公開の審判がおこなわれます。 裁判官は審判において、少年に対し、犯罪に手を染めてしまった原因や、再び同じ過ちを繰り返さない為の防止策等を質問します。
調査の結果に加えて審判でのやり取りも踏まえて、最終的にその少年にとってどのような処分が適当かを判断し告知します。


オレオレ詐欺は深刻な社会問題となっており、近年厳罰化が進んでいることから、少年事件においても比較的厳しい処分(少年院送致)がなされる場合が多いです

お悩みさん

子供から聞いた話ですと、今回子供がかけ子に脅されて犯罪をおこなってしまい、勿論本人もやってしまった罪の重さはわかっていますし、反省の意もあるんですが、そういった場合でも少年院に行くことになってしまうのでしょうか

最良の対策とは…

弁護士

少年は社会経験が乏しく判断能力も未熟ですので、かけ子からの脅しの程度といった具体的な事情によっては、少年自身の問題が根深いとまでは言えず、社会の中で構成する余地も出てきますので、少年院を回避できる可能性はあるかと思います。

お悩みさん

そうなんですね。
母親としては子供の罪を重くしたくないですし、できれば捕まってほしくもないです。
一番罪が軽く済むためにはどうすれば良いでしょうか。
また、私に何かできることはあるのでしょうか。

弁護士

まず、今回の様に被害者が特定できる事件を起こしてしまった場合、被害者への謝罪及び示談交渉を行う必要があります。
被害者との示談交渉は、加害者の関係者が行うことは困難を極めますので、出来る限りご自身で行わずに弁護士にご依頼された方が宜しいかと思います。

お悩みさん

わかりました。
まずは示談交渉を進めるために、弁護士への依頼を検討しようと思います。
今回の事件だと、示談になれば少年院に入ることはないのでしょうか。
またメディア等に取り上げられる事もないでしょうか。

少年院送致の可能性

弁護士

いえ、残念ながら示談になったからと言っても鑑別所や少年院から免れることができるわけではありません。

今回の事案ですと個人感での詐欺ではなく、組織的犯罪での詐欺に該当しますので「ほんの出来心でやってしまった」というのが認められなくなります。
よって、確率論になってしまいますが今回のケースは厳しく進んでいく事にはなるかと思います。

とはいえ、今できることで最善を尽くす必要はあると思いますのでしっかりと対策していきましょう。示談が成立したからといって、必ず少年院に送致されないわけではありませんが、少年院を回避できる可能性が高くなることは間違いありません。また、少年法上、審判に付された少年について、氏名、年齢、職業、銃魚、容ぼうなどによってその者が事件の本人であることを推知することができるような記事・写真等の報道が禁止されておりますので、メディア等の報道でお子さんが特定されることは無いと思います。今できることで最善を尽くす必要はあると思いますのでしっかりと対策していきましょう。

お悩みさん

本当に有り難う御座います。
最初は不安な気持ちでいっぱいでしたが、やるべきことが明確になってきたのでしっかりと対策していけたらと思います。
引き続き、宜しくお願い致します。

弁護士

そう思って頂けたならよかったです。
このように気づかない間に身内が犯罪を起こしてしまうケースは少なくありません。
自分の子供が、自分の夫、妻が、など身近の方が罪に問われてしまった時でも冷静に対処できるようにしっかりと対策してきましょう。
当事務所はこのような刑事事件はじめ様々な事案を取り扱っている総合法律事務所になります。
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