遺留分について

先日、父が亡くなりました。
兄から父の公正証書遺言があると伝えられました。
遺言の内容を見せてもらったのですが、全財産を兄に渡すというもので、正直納得がいきません。
この遺言に従わなければならないのでしょうか。

相続に関するご質問ですね。
こういったトラブルも少なくありません。一緒に確認していきましょう。
遺言作成時の認知能力

遺言を作成されたときのお父様の認知の状態はいかがでしたか。

多少の物忘れはあったようですが、年相応のものですし、認知症という診断は出ていなかったと思います。

それでは遺言の効力を争うことは難しいかもしれませんね。
公正証書遺言が有効であるということを前提にお話をします。
遺言が有効である場合、相続については遺言の記載のとおり従わなければなりません。
相続時の遺留分

相続人はどなたになりますか?

相続人は、高齢の母と私と妹、そして兄となります。

お母様と、ご兄弟3名が相続人ですね。
ご相談者様のケースのように、相続人のうちどなたか1人がすべて相続財産を取得するという遺言があったとしても、相続人には、遺言でも奪うことができない「遺留分」があります。

今回のケースでは、お母様は2分の1、ご兄弟はそれぞれ6分の1の法定相続分がありますが、遺留分は、配偶者と子どもの場合は、法定相続分の2分の1となります。
つまり請求できる遺留分は、お母様は2分の1×2分の1で4分の1、ご相談者様と妹様は、6分の1×2分の1で12分の1となります。
ちなみに遺留分は、相続人が直系尊属のみの場合は3分の1であり、その他の場合は2分の1となります。兄弟姉妹には遺留分はありません。

そうなんですね。それでは、遺留分を請求するにはどうしたらいいのでしょうか。

はい。お母様とご相談者様、妹様は、それぞれ遺留分を侵害された分、金銭を支払うよう請求することができます。
具体的には、お兄さまに対して「遺留分を侵害しているため、遺留分の侵害額に相当する金員を支払ってください」という通知を出します(遺留分侵害額請求)。

法律上は、相続人は遺留分を請求することができる旨定められていますが、請求をするかどうかは相続人の意向によります。
中には遺留分なんていらないという方もいらっしゃいますので、お母様・妹様のご意思の確認が必要ですね。

そうなんですね。では母と妹とよく話し合ってみます。
不動産の相続

父はアパート経営もしていて不動産がいくつかあるのですが、そのあたりはどのように分けることになりますか。

昔は、遺留分として不動産の持分を請求していたのですが、法改正があり金銭請求となりました。相続財産に不動産がある場合、その評価額をいくらとするのかというところは問題になりますね。

これから母の生活のための資金が必要になります。
ホームに入居するにも大金が必要になりますので母と妹の意向も確認したら、またご相談するようにいたします。

承知いたしました。お待ちしております。
遺留分侵害額請求権は、遺留分の侵害を知ったときから1年、相続開始のときから10年経過すると時効により消滅しますので、注意をしてください。
まだ時間がありますが、1年は案外早いですので…。
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