中小企業のM&Aとトラブル

2024/11/05

お悩みさん

64歳男性です。
地方で小さな製造業をしており、事業を引き継いでくれる方を探しています。
子どもは東京の企業に就職し、引き継ぐ気は無いようです。

引き継ぐ方法として、M&Aという話を耳にすることがあります。M&Aというと、大企業をイメージしてしまうのですが、うちのような中小企業でもできるのでしょうか。

弁護士

はい。最近ではいわゆる中小企業でも、事業の承継や事業規模の拡大のためM&Aをされるケースが増加傾向にあると言われています。実際に、M&Aに関するご相談も増えています。

せっかく築き上げてきた会社ですから、誰かに事業を引き継いでもらうことは、会社にとっても在籍する従業員の方々にとっても有益な手段の一つといえます。

M&Aの方法

お悩みさん

「M&A」と言っても、実際のところその内容が良くわからないのですが、どのような方法なのですか?

弁護士

M&Aとは、英語の「Mergers and Acquisitions」を略したもので、「企業の合併・買収」などを意味します。

M&Aといっても、2つ以上の企業が合体する「合併」、株主が持っている株式を譲り渡す「株式譲渡」、会社が事業の全部または一部を他の会社に譲渡する「事業譲渡」など様々な方法があります。

お悩みさん

そうなんですね。M&Aという名前の方法があるのかと思っていました。
M&Aにあたっては、どの方法を用いることが多いのでしょうか。

弁護士

売手側・買手側が今後どうしていきたいか、何を引き継ぎたい(引き継がせたい)のかなどにより、個別に検討する必要はありますね。

ただ、株式会社であれば、一般的には、「株式譲渡」の方法によることが多いかと思います。

お悩みさん

私も、持っている株式をすべて譲り渡して会社を丸ごと引き継いでもらいたいと考えていますので、株式譲渡という方法によることになりそうですね。

M&Aをめぐるトラブル事例

お悩みさん

最近、ニュースで、M&Aをめぐりトラブルになったという話を聞いたことがあります。実際には、どのようなものがあるのでしょうか?

弁護士

中小企業庁が挙げているトラブル事例としては、売主の個人保証が解除されないといったケースを挙げています。

通常、会社が借金をしている場合には、代表取締役が連帯保証人となっているケースが多いですよね。

株式譲渡によるM&Aの契約締結の際に、売手側の代表取締役の連帯保証を解除してもらうよう合意していたにも関わらず、いつまで経ってもそれが外れないまま残ってしまうというケースがあります。

お悩みさん

M&Aをしているので、もう連帯保証人としての責任は無いと言うことは難しいのでしょうか。

弁護士

連帯保証は、お金を貸した金融機関と連帯保証人との契約ですので、金融機関の了承が得られるか、元の借入金を返済するなどしないと、連帯保証人としての責任は残ったままとなります。

連帯保証人として責任を負った場合には、主債務者(借りた本人)である会社に対して請求する「求償権」はありますが、そのような場合、そもそも主債務者が支払えず滞納しているような状態となっているのですから、事実上回収は難しくなります。

お悩みさん

他には、どのようなトラブルが挙がっていますか。

弁護士

M&Aをした際の譲渡代金(対価)が分割払いとなっているようなケースで、そのお金が約束どおり支払われないといったトラブル事例も挙げられています。

お悩みさん

譲渡代金が支払われない場合、誰に対して請求をするのでしょうか?

弁護士

契約の当事者である買手側に請求します。

ただ、支払いが滞っているようなケースですと、そもそも買手側に支払能力が無いといった場合も珍しくありませんので、注意が必要です。

以上の事例については、中小企業庁のホームページにも記載されています( M&Aに関するトラブルにご注意ください | 中小企業庁 )。

お悩みさん

このようなトラブルを避けるためには、どうした方が良いのでしょうか?

弁護士

どのような方法をとるにしても、M&Aはとても重要な取引になりますので、事前に十分に条件や契約内容を理解して検討すること、本当にその買手で問題が無いか吟味していくことが必要です。

その際には、M&Aを理解している弁護士に、M&Aを検討し始める時から相談し、一緒に伴走してもらいながら進めていくことも重要だと考えます。

M&Aをする場合には、M&Aの仲介業者さんが売手側・買手側の双方の間に入って仲介をしていくことが多いです。

その際、一部の仲介業者や担当者が成約を急ぐあまりに、当事者の利益に十分に配慮しないまま進めてしまいトラブルに発展してしまったというケースもあります。

それだけに、あくまで売手側(または買手側)のどちらかの立場に寄り添って、その利益となるようにアドバイスをしていく弁護士等の専門家の存在は必要だと考えます。

弁護士

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