修繕費用のトラブル
32歳男性です。
賃借していた物件を退去する際に、自分がやっていないはずの壁の大きな破損が見つかり修繕費用を請求されてます。
確かに、入居時に確認した際はその破損は確認しておらず、退去まで見つけることができずそのまま生活してしまいました。
そのような場合、自分がその破損部分の修繕費用を支払わないといけないのでしょうか。
納得できません、教えてください。
今回は修繕費用のトラブルについてですね。
細かい内容含めて確認していきましょう。
原状回復義務の対象
基本的に、建物賃貸借契約においては、退去時に賃借人が原状回復を行う義務を負うものとされています。
ただ、通常の生活の過程で生じた損傷部分等のいわゆる通常損耗は原状回復義務の対象とならないことが原則です。なお、通常損耗とそれ以外の損耗を区別するガイドラインとして、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」が参考になりますので興味があるようでしたら是非ご確認ください。
今回の件ですと、壁の大きな破損とのことですので、通常消耗と評価することは難しいでしょう。もっとも、入居前から既に破損していた場合は、原状が破損状態だったのですから、原状回復する必要はありません。
そうなんですね。
今回の破損ですが、自分でやった覚えが全くありません。
入居前から既に破損していたはずですので、原状回復義務は負わないということでよろしいでしょうか。
身に覚えのない破損について
賃貸物件に居住を開始する際は、引渡しを受ける際に、賃借人の立ち合いの下、賃貸物件の引渡時の状態の確認を行うことが一般的かと思います。
今回のご相談のケースでもご相談者様が引渡しの際に賃貸物件に問題がないことを確認していたというような事情があれば、身に覚えのない破損であると言ってもそのような主張が認められる可能性は低いと思います。
もっとも、その破損部分が、引渡の時点からずっと隠されていて、単に居住しているだけでは発見することができなかったといった特殊な事情があれば、状況は変わってくるかと思います。
なるほど、、
ということは気付かない間に破損してしまったのかもしれません。
あくまでも自分が破損させたはずがないと主張していった場合はどのような見通しになりますか。
ご自身が破損させていないということを裏付ける証拠があれば、修繕費用を支払わないですむ可能性が高いと思います。民法上も、通常損耗を超える損傷・汚損であっても、賃借人に責任がないものについては、原状回復義務の対象外であると規定されています。
もっとも、本件の場合は、そのような証拠を探すことはなかなか難しいでしょう。
このようなことがないように、入居時には必ず賃貸物件原状をしっかりと確認し、事前に破損等がないか確認するようにしてください。
今回のようなケースに限らず、理不尽と思える請求や修繕の依頼があった際は、ご自身だけで対処しようとせずにお気軽に弁護士にご相談ください。
当事務所は様々な事案を取り扱っている総合法律事務所になります。
些細なことでも気になる事がありましたらお気軽にご相談ください。
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