遺言書の有効性について
42歳男性です。私の父が先日亡くなり、遺言書が見つかったのですが、家族の間で遺言書の内容について揉めています。
遺言書には妹に全ての遺産を相続させることが記載されていますが、遺言書の作成時、父は認知症を患っていました。
今回の場合でも遺言書は有効性があるのでしょうか。
どう解決すればよいでしょうか、教えてください。
今回は遺言のトラブルですね。
遺言の有効性についての条件はいくつかありますので、しっかりと理解した上で今回のケースを見ていきましょう。
遺言が認められる条件
まず、遺言が有効となる条件は民法によって定められています。
条件を大きく分類すると次の2点です。
・遺言の形式を満たしていること
・遺言の能力があること
本件の場合、主に2つ目の内容が論点になってくるかと思います。
遺言能力とは、遺言の内容を理解し、遺言の結果を弁識しうる意思能力をいいます。
お父様は認知症を患っていらっしゃったとの事で、認知症の方は遺言する能力がないと思われがちですが、認知症の程度も様々であり、必ずしも認知症だからといって遺言ができないわけではありません。
具体的な症状や生活状況、遺言の内容などを踏まえて判断する必要があります。
そうなんですね。
父親は介護施設にも入っており、妹のことも私の事もよく分からない状況で、到底遺言のできる状況ではなかったと思います。
こういった状況をどう説明すればいいのでしょうか。
遺言の無効確認について
遺言が無効であることを確認する方法として、遺言無効確認訴訟があります。
遺言無効確認訴訟では、遺言を遺した当時にお父様に遺言能力がなかったことを証明していかなければいけません。
判断の根拠となるものとしては、通われていた病院のカルテや入所していた施設の記録、日常会話や買い物などの生活の様子があります。
明確な基準が定められているわけではなく、財産内容や遺言の内容の複雑さと本人の認知能力を考慮して判断されます。
まずはより詳しい状況を弁護士に相談した上で慎重に進めていくのがいいでしょう。
そう言った手続きがあるのですね、初めて知りました。
ただ、訴訟を起こすとなると妹と裁判することになるのですね。
できる限り家族の関係を拗らせたくもないなと思っているのですが、穏便に解決する方法はないのでしょうか。
通常は、訴訟を行う前にまず相続人の間で交渉を行います。
遺言が存在する場合でも、交渉の結果、相続人全員の同意のもとで遺言と異なる内容の遺産分割協議ができる場合もあります。
ただ、遺言能力の判断は様々な事情を考慮する必要がありますし、当事者同士では話がまとまらないこともありますので、弁護士にご相談の上で交渉を進めていくのがいいでしょう。
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